-
桃山邑『河原者のけもの道』
¥2,420
▼書籍概要 B6判変型 並製 400頁 本体価格2,200円+税 ISBN 978-4-904702-91-8 C0074 2023年6月刊行 装幀 近藤ちはる 野戦攻城の幟の下、自らの手で野外に仮設劇場を建て、35年にわたり芝居をつづけてきた水族館劇場の座長、桃山邑最期のメッセージ。エッセイ、台本のほか、自らを赤裸々に語った8時間インタビューも収録する。 [主要内容] こんなふうに芝居の獣道を歩いてきた(インタビュー) 綯交の世界(エッセイ) おわかれだね/日雇下層労働の変容と山谷玉三郎の死 朱もどろの海の彼方から/ぼくの作劇法―座付き作者の使命 こんな音楽で舞台をいろどってきた 出雲阿國航海記(2022年公演台本) 水族館劇場 上演年表 寄稿:桑田光平・矢吹有鼓・佐藤良明・千代次 ▼著者プロフィール 桃山邑 (ももやま ゆう) 1957年生まれ。現代河原者にして水族館劇場座付作者。若い頃より建築職人として寄せ場を渡り歩く。1980年、曲馬舘最後の旅興行から芝居の獣道へ。1987年、水族館劇場として一座創設。以降35年にわたり寺社境内を漂流しながら人の縁を結んでゆく。2022年10月、銀河の涯へと旅立つ。桃山邑編『水族館劇場のほうへ』(2013年、羽鳥書店)。
MORE -
桑田光平・田口仁・吉野良祐[編]『東京時影 1964/202X』
¥3,520
▼書籍概要 A5判 並製 354頁 本体価格3,200円+税 ISBN 978-4-904702-89-5 C3010 2023年4月刊行 ブックデザイン 大西隆介・沼本明希子(direction Q) パンデミックで揺れ、変貌しつづける東京を歴史の地層から掘り起し、錯綜するイメージを切り取る。表象文化論からの果敢なアプローチ。 東京大学大学院総合文化研究科桑田ゼミにおけるリサーチを基礎に企画し、漫画、音楽、映画、文学、建築、美術──1964 年の東京、コロナ禍と五輪を経た現在の東京、両者を比較する表象分析の論考とエッセイ13 本を収録する。 [主要目次] 宙吊りの時間を記録する 桑田光平 序──「東京と」 田口仁 Part I/動 歩くこと──「人間の尺度」の回復 桑田光平 われら内なる動物たち──寺山修司、ダナ・ハラウェイ、AKI INOMATA 田口仁 Part II/時 Waves From A Seaside City in 1964──サーフィン、GS、City Pop 田口仁 都市のレイヤーを描く──マンガの中の東京、その地下 陰山涼 半醒半睡のシネマトグラフ──映画における東京と眠りの共同体について 高部遼 「壁」景から「窓」景へ──写真表現における東京を見る人の表象をめぐって 西川ゆきえ 無柱のメカニクス/かたちのポピュリズム──フラー・山田守・坪井善勝・丹下健三 吉野良祐 東京肉体拾遺──ボクシング、ミステリー、水 伊澤拓人 失踪者のための回路──都市における失踪表現の変遷 小林紗由里 Part III/標 赤瀬川原平の楕円幻想 桑田光平 ガールたちの無自覚な反乱──源氏鶏太と愛とBG 平居香子 ジオラマ都市のカタストロフ──ゴジラが去ったそのあとに 吉野良祐 Part X/夢 捏造のランデブー──樺美智子と土方巽 平居香子 あとがき 吉野良祐 人名索引/事項索引/図版一覧/執筆者紹介
MORE -
鶴見明世・藤村龍生『スピリチュアル・コード──鶴見明世のシャーマン世界』
¥2,420
四六判 並製 220頁(カラー20頁) 本体価格 2,200円+税 ISBN 978-4-904702-87-1 C0010 装幀 白井敬尚(アートワーク:山本理乃) 2022年3月刊行 ▼概要 卓越したタロット・リーダー、稀代のシャーマン、鶴見明世が視るヴィジョン。 知覚器官のようにしてタロットを「読む」力をもち、臨死体験をへて大きく覚醒したシャーマンとして活動する鶴見が、哲学者・藤村龍生との対談を通して、独自のスピリチュアルな次元を初めて語る。 〈スピリチュアル〉──それは、精神的、霊的、神秘的であり、またエネルギー的かつ情報的である。いま危機的な地球を生きる人類が、多元的な時空に存在する一人ひとりの自分を知り、未来を見据えるために、新しいスピリチュアルの扉が開かれる。 ▼主要目次 I 鶴見明世の原点──独学でタロットを学ぶ II 臨死体験、そして四神の世界へ III ヒーリング、世界を舞台として ▼著者紹介 鶴見明世(つるみ あきよ) 1962年生まれ、横浜市出身。タロット・リーダー、シャーマン、ヒーラー、スピリチュアル・アーティスト。2005 年、ドイツ国際ヒーリング協会から日本人で唯一のOutstanding-Healer 認定を受ける。2010年、NPO 法人IAOH-JAPAN 理事長就任。2011 年、ドイツ・スイスインターナショナルホリスティック協会ボードメンバー就任。2020 年、スピリチュアルな事象全般に対応するため、OfficeNIJI(オフィス虹)を設立。明解なリーディング、ハートフルなヒーリングを求めて訪れる人々の数は年間約1 千人、トータルで3 万人を超える。 Office NIJI https://office-niji.com/ 藤村龍生(ふじむら たつお) 1950年生まれ、東京都出身。哲学者・神秘思想研究家
MORE -
森まゆみ『路上のポルトレ── 憶いだす人びと』
¥2,420
四六判 上製 336頁 本体価格2,200円+税 ISBN 978-4-904702-83-3 C0095 2020年11月下旬刊行 編集:南陀楼綾繁 カバー画:有元利夫 ブックデザイン:大西隆介(direction Q) ▶︎概要 忘れ得ぬ人の記憶をたなごころですくい、 そっと温めるように書いておきたい── 地域雑誌『谷中・根津・千駄木』から出発し、評伝をはじめ多彩な活動を続けてきた著者が出会った人びとを回想するエッセイ集成。 作家、思想家、詩人、映画監督、芸人、そして市井に生きる人……。およそ100人が織りなす星座のような人間模様。 ▶︎目次 はじめに Ⅰ こぼれ落ちる記憶 もう一人のモリマユミ ──西井一夫 朝の電話 ──藤田省三ほか アメリカのセイゴさん 羽黒洞のおやじさん ──木村東介 ひらひらした指 震災でおもいだしたこと ──吉村昭 衿子さんの家で ──岸田衿子 センチメンタル・ジャーニー ──目賀田先生 狐につままれた話 本郷の畸人のこと ──品川力 「根津の甚八」伝説 いっそままよのボンカレー ──岡本文弥 大地堂の一筆 ──浅田良助 故郷忘じがたし ──沈壽官 海の切れはし ──森家の人びと 谷中墓地で会った方たち ──萩原延壽ほか 背中を流す バーの止まり木 ──種村季弘 Ⅱ 町で出会った人 木下順二さんのこと 谷中で戦争を語りつぐ会 弥生町の青木誠さん 町の兄い 岩崎寛彌さんのこと 建築史・門前の小僧 ──村松貞次郎ほか 元倉眞琴さんのこと 宇沢弘文先生の最後の言葉 横浜のお兄さん 北澤猛 サイデンステッカー先生の不忍池 解剖坂のKさん ゆっくり知りあう ──小林顕一 高田爬虫類研究所 ──高田栄一 やっぱりオモシロイ平岡正明 集まってきた本たち なくなったお店三つ(泰平軒、鳥ぎん、蛇の目寿司) 母の日によせて ヤマサキという人 ──山﨑範子 Ⅲ 陰になり ひなたになり 粕谷一希さんの支え 鶴見俊輔さんの遺言 温かい手のやわらかさ ──瀬戸内寂聴師 杉浦明平さんに聞く 風太郎大人との至福の時間 ──山田風太郎 『彷書月刊』のあの頃 ──田村治芳ほか すゞやかな文人 ──高田宏 倉本四郎の庭 きっとですよ ──大村彦次郎 信濃追分を愛した人 ──近藤富枝 花のような人 ──木村由花 Ⅳ 出会うことの幸福 上を向いて歩こう ──永六輔 活字遊びと恋の転々 ──岡本文弥 吉原に愛された人 ──吉村平吉 自主独立農民 佐藤忠吉 阪神間のお嬢さま ──脇田晴子 河合隼雄長官の冗談 わたしの知ってる矢川澄子さん 黒岩比佐子さんを惜しむ 旅の仕方を教わった人 ──紅山雪夫 古い友だち 佐藤真 同僚教員の村木良彦さん ゆふいん文化・記録映画祭 ──土本典昭ほか neoneo坐で会った萩野靖乃さん 松井秀喜選手とちょっとだけ立ち話 ジュリーのいた日々 ──沢田研二 樹木希林さんとの接近遭遇 九代目市川團十郎丈のギャラン バングラディシュのマクブールさん 北上へ行ったジョン君 中村哲さんのたたずまい わたしの病気を発見してくれた人 ──原田永之助 おわりに 初出一覧 人名索引 ▶︎著者プロフィール 森まゆみ 1954 年東京生まれ。作家。大学卒業後、PR 会社、出版社を経て、1984 年に仲間と地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊、2009 年の終刊まで編集人を務めた。 歴史的建造物の保存活動にも取り組み、日本建築学会文化賞、サントリー地域文化賞を受賞。 『鷗外の坂』で芸術選奨文部大臣新人賞、『「即興詩人」のイタリア』でJTB 紀行文学大賞、『「青鞜」の冒険』で紫式部文学賞を受賞。他の著書に『彰義隊遺聞』『暗い時代の人々』『子規の音』など。
MORE -
乾緑郎『ドライドックNo.8 乾船渠八號』(戯曲集)
¥2,420
★水族館劇場 花園神社公演(4/10–19)は中止となりました。 四六判 並製 248頁 本体価格2,200円+税 ISBN 978-4-904702-81-9 C0074 2020年4月中旬刊行 装幀:近藤ちはる ▶︎概要 「機巧のイヴ」シリーズなどで新たなSF伝奇小説を開拓する小説家・乾緑郎、初の戯曲集。野外に巨大な仮設劇場を建てる芝居集団〈水族館劇場〉の新宿花園神社公演(2020年4月10日〜19日)のために書下ろされた新作「ドライドックNo.8 乾船渠八號」に、劇作家協会新人戯曲賞最終候補作「ソリテュード」を併録。 有人砲弾、月へ! 造船と紡績でにぎわう架空都市「横濱」。ヴェルヌの「月世界旅行」が史実として持てはやされる港町で、月へ向け、有人砲弾の打ち上げ計画がはじまった。 横濱に建設された巨大なドックに、カンカン虫と呼ばれる下層労働者が船の錆落としのために打ちおろす槌(ハンマー)の音が鳴り響く。月世界旅行にあこがれる少年ワタルと糸繰り工女の虹子。持たざる者たちは、カイウサギの投機ブームに翻弄されながら、陰謀うずまく国家事業にのみこまれてゆく。 ▶︎収録作品 「ドライドックNo.8 乾船渠八號」 「ソリテュード」 ▶︎著者プロフィール 乾 緑郎(いぬい ろくろう) 1971年、東京生まれ。小説家・劇作家。2010年『完全なる首長竜の日』(宝島社)で第9回「このミステリーがすごい!大賞」を、『忍び外伝』(朝日新聞出版)で第2回朝日時代小説大賞を受賞しデビュー。2013年『忍び秘伝(文庫化タイトル:塞ノ巫女)』で第15回大藪春彦賞候補。近年は作品の英訳版が発売され、中国のSF雑誌にも掲載されるなど、海外での評価も高い。『機巧のイヴ』シリーズ(新潮社)、『見返り検校』(新潮社)『僕たちのアラル』(KADOKAWA)、『ツキノネ』(祥伝社)、『ねなしぐさ 平賀源内の殺人』(宝島社)など、著書多数。 ▶︎水族館劇場 2020年 新宿花園神社公演 「乾船渠八號 DRY DOCK NO.8」 作 乾緑郎 演出 桃山邑 2020年4月10日〜19日(10日間連続公演)19時より 会場:新宿 花園神社 境内特設野外舞台 http://suizokukangekijou.com/information/
MORE -
安藤礼二『迷宮と宇宙』
¥3,080
四六判 上製 320頁 本体価格2,800円+税 ISBN 978-4-904702-80-2 C0090 2019年11月刊行 装幀:白井敬尚形成事務所 ▶︎概要 文芸批評の集大成 現世と幽冥を行き来する者たちの、壮大な文学史 平田篤胤とエドガー・アラン・ポーをめぐる「二つの『死者の書』」から始まり、鏡花、谷崎、土方、乱歩、三島、澁澤へと論が展開する「I 迷宮と宇宙」6編。折口を通底におきながら、賢治と久作を手繰りよせる「II 胎児の夢」2編。最後に、ポーからボードレールに及ぶ1編「III 批評とは何か」で、「解釈」(翻訳)そして「創作」について分析し、批評の世界を切り拓く。 終了イベント 羽鳥書店創業10周年記念&安藤礼二『迷宮と宇宙』刊行記念 「安藤礼二×やなぎみわ トークイベント」 2019/11/18(月)19時より 会場:紀伊國屋ホール https://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20190920095000.html ▶︎目次 Ⅰ 迷宮と宇宙 二つの『死者の書』――平田篤胤とエドガー・アラン・ポー 輪舞するオブジェ――泉鏡花『草迷宮』をめぐって 人魚の嘆き――谷崎潤一郎の「母」 肉体の叛乱――土方巽と江戸川乱歩 夢の織物――三島由紀夫『豊饒の海』の起源 未生の卵――澁澤龍彦『高丘親王航海記』の彼方へ Ⅱ 胎児の夢 多様なるものの一元論――ラフカディオ・ハーンと折口信夫 胎児の夢――宮沢賢治と夢野久作 Ⅲ 批評とは何か 批評とは何か――照応と類似 後記/人名索引/文献一覧 ▶︎著者プロフィール 1967年、東京都生まれ。文芸評論家、多摩美術大学美術学部教授。 [主要著書]『神々の闘争 折口信夫論』(講談社)芸術選奨文部科学大臣賞、『近代論 危機の時代のアルシーヴ』(NTT出版)、『光の曼陀羅 日本文学論』(講談社)大江健三郎賞・伊藤整文学賞、『霊獣「死者の書」完結篇』(新潮社)、『場所と産霊近代日本思想史』(講談社)、『たそがれの国』(筑摩書房)、『祝祭の書物 表現のゼロをめぐって』(文藝春秋)、『折口信夫』(講談社)角川財団学芸賞・サントリー学芸賞、『大拙』(講談社)、近刊に『列島祝祭論』(作品社)。
MORE -
工藤庸子『女たちの声』
¥2,640
B6判 上製 200頁 本体価格2,400円+税 ISBN 978-4-904702-77-2 C0095 2019年6月刊行 ブックデザイン:小川順子 ▶︎概要 〈言語環境〉に潜む、性差の力学を問う。スタール夫人、ラーエル・ファルンハーゲン、ハンナ・アレント、ボーヴォワール、マルグリット・デュラス、コレット、ヴァージニア・ウルフ──。羽鳥書店HPで連載された「人文学の遠めがね」15編と、書下ろし100枚、「〈声〉と〈書くこと〉をめぐって」を収録。 工藤庸子 字幕監修 映画『コレット』5月17日より全国ロードショー *コレット『シェリ』『シェリの最後』『牝猫』(岩波文庫、工藤庸子訳)が復刊! https://colette-movie.jp/ ▶︎目次 人文学の遠めがね I ベンジャミン・フランクリンの恋文 その一 II ベンジャミン・フランクリンの恋文 その二(KYのメモ) III 二本のネクタイ あるいは男女格差について Ⅳ 性差のゆらぎ Ⅴ 両性具有──排除的分類ではなく VI わたしたちの社会的アイデンティティを剥奪しないでください──選択的夫婦別姓 VII 女たちの声 VIII 続・女たちの声──六七年の記憶 IX 「性愛」と「おっぱい」 X 元祖は皇帝ナポレオン? XI 大江健三郎と女性(一)── contemporaineであるということ XII 大江健三郎と女性(二)── 政治少年のéjaculation XIII 大江健三郎と女性(三)──「全小説」とfictionとしての「小説家」 XⅣ 女のエクリチュール XⅤ ゼラニウムの微かに淫靡な匂い──続・女のエクリチュール 〈声〉と〈書くこと〉をめぐって──デリダ/スタール夫人/アレント 何を、どんなふうに語ればよいのか…… 〈女のエクリチュール〉とは?──デュラスの方へ 〈エクリチュール〉は女?──デリダの〈尖筆〉とフローベールの手紙 サロンの会話とスタール夫人の〈声〉──〈公共圏/親密圏〉の二元論に抗して (Auto)biography を書く──アレント『ラーエル・ファルンファーゲン』 アレントの〈言論(スピーチ)〉とは?──『人間の条件』 「あとがき」にかえて ▶︎プロフィール 工藤庸子(くどうようこ) フランス文学、ヨーロッパ地域文化研究。東京大学名誉教授。著書に、『ヨーロッパ文明批判序説──植民地・共和国・オリエンタリズム』『近代ヨーロッパ宗教文化論──姦通小説・ナポレオン法典・政教分離』『評伝 スタール夫人と近代ヨーロッパ──フランス革命とナポレオン独裁を生きぬいた自由主義の母』(いずれも東京大学出版会)、『政治に口出しする女はお嫌いですか?──スタール夫人の言論vs.ナポレオンの独裁』(勁草書房)。訳書に、『いま読むペロー「昔話」』訳・解説(羽鳥書店)、コレット『シェリ』(岩波文庫)。編著に『論集 蓮實重彥』(羽鳥書店)、共著に『〈淫靡さ〉について』(蓮實重彥、羽鳥書店)。他、多数。 ▶︎担当者より http://www.hatorishoten-articles.com/hatoripress-news/6340884 ▶︎他のオンラインストアでご購入の方 版元ドットコム https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784904702772
MORE -
三浦哲哉『『ハッピーアワー』論』
¥2,420
四六判 並製 178頁 本体価格 2,200円+税 ISBN 978-4-904702-70-3 C0074 2018年5月刊行 装幀:小川順子 装画:山本由実 ひたすらな孤立をあえて選択することで、無限に開かれたコミュニケーションを奇跡のように押し拡げてみせた濱口竜介の『ハッピーアワー』の美しさ。その美しさをあえて言葉にしようとする三浦哲哉の『「ハッピーアワー」論』のひたすら無謀な情熱。そのありえない出会いのさきに、濱口の傑作『寝ても覚めても』による無謀さの擁護が、すでに終わりかけている平成日本の目には見えない焦点を、ひそかに、だが鋭く、視界に浮上させている。 ────蓮實重彦(映画評論家) ▼概要 見終えたあと、外の世界がまあたらしく見えてくる。 映画批評家・三浦哲哉による、渾身の『ハッピーアワー』論。 濱口竜介監督の5時間17分におよぶ話題作『ハッピーアワー』(2015年)。その異例ともいえる上映時間にこめられた密度の濃い映画的仕組みを、丁寧かつスリリングに解き明かし、映画史の中に位置づける。書下し。 [主要目次]*詳細目次はページ下を参照 序 第一章 重心 第二章 台詞 第三章 変化 結論 『ハッピーアワー』のあとに見たい映画リスト ▼映画『ハッピーアワー』公式サイト 最新情報はこちらよりご確認ください。上映会情報も。 *上映会 5月12日(土)15時30分〜、26日(土)11時30分〜 会場:ブックハウスカフェ http://hh.fictive.jp/ja/ ▼刊行記念トークイベント 三浦哲哉×濱口竜介「『ハッピーアワー』という幸福な時間」 5月24日(木)19時〜 エスパス・ビブリオ *満員御礼にて終了 http://espacebiblio.superstudio.co.jp/?p=6695 ▼プロフィール 青山学院大学文学部准教授。映画批評・研究、表象文化論。1976年郡山市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。著書に『サスペンス映画史』(みすず書房、2012年)、『映画とは何か──フランス映画思想史』(筑摩選書、2014年)。共著に『ひきずる映画──ポスト・カタストロフ時代の想像力』(フィルムアート社、2011年)、『オーバー・ザ・シネマ 映画「超」討議』(石岡良治との共編著、フィルムアート社、2018年)。訳書に『ジム・ジャームッシュ・インタビューズ──映画監督ジム・ジャームッシュの歴史』(東邦出版、2006年)。 2018年5月17日 初版 印刷・製本 大日本法令印刷 [詳細目次] 序 第一章 重 心 物語の要約 「心理表象主義」を超えて 「重心」 鵜飼のワークショップ サスペンス なぜ倒れるのか テーブルを挟んだ対面状態 純の試練 有馬温泉の四人 芙美の孤立 桜子の揺らめき あかりの模索 第二章 台 詞 「台詞が演者をサポートする」──『東京物語』の原節子 純と「せやな」 桜子と「わからへん」 あかりと「なんやねん」 芙美と「これか」 拓也と「まじか」 良彦と「どうすんねん」 鵜飼と「聞いてもいいですか?」 柚月と「すいません」 『ハッピーアワー』の言語 第三章 変 化 「自己認識」の変化 セルフモニタリング 撮影現場におけるセルフモニタリング=「自己吟味」 朗読会とその打ち上げにおける変化の連鎖 朗読会のアドリブ フィクションの開口部 さまざまな「好き」 公平の変化 交わらなさ 「もう遅い」と「まだ途中」 芙美の変化 結論 『ハッピーアワー』のあとに見たい映画リスト』 註 あとがき
MORE -
工藤庸子×蓮實重彦『〈淫靡さ〉について』はとり文庫005
¥1,430
A6判並製(文庫判) 240頁 本体価格 1,300円+税 ISBN 978-4-904702-67-3 C0095 2017年7月刊行 デザイン 原研哉+中村晋平+大橋香菜子 ▼概要 三島由紀夫賞受賞『伯爵夫人』の衝撃から1年──"作者"と、『論集 蓮實重彥』の編者が織りなす対談集。2016年7月と12月に、工藤庸子編『論集 蓮實重彥』(羽鳥書店)と工藤庸子『評伝 スタール夫人と近代ヨーロッパ』(東京大学出版会)の刊行記念として行われた二つの対談。ともにフランス文学研究の第一線にあり元同僚でもある二人が、女性・フィクション・大学を軸に、近代から現代を縦横に語る。工藤庸子渾身の書下ろし『伯爵夫人』論も収録。 ▼著者 工藤庸子(くどう ようこ) フランス文学者。東京大学名誉教授。『論集 蓮實重彥』(27人の「非嫡出子」による蓮實重彥論)の編者。三部作『ヨーロッパ文明批判序説』『近代ヨーロッパ宗教文化論』『評伝 スタール夫人と近代ヨーロッパ』(2003, 2013, 2016、いずれも東京大学出版会) 蓮實 重彥(はすみ しげひこ) フランス文学者、文芸批評家、映画批評家、小説家。第26代東京大学総長、同大学名誉教授。 ▼目次 Introduction にかえて──功成り名を遂げた元総長がなぜ? というごく自然な疑問をめぐるKYの独り言 工藤庸子 【対談】『論集 蓮實重彥』についてお話させていただきます 【対談】女性・フィクション・大学──スタール夫人×伯爵夫人 伯爵夫人のために──フィクション・映画・幽霊 工藤庸子 Conclusion にかえて──ちょうどそのときたまたまそこにいてくれたことの淫靡さを言祝ぐ 蓮實重彥
MORE -
工藤庸子[編]『論集 蓮實重彦』
¥5,940
A5判 上製 640頁 本体価格 5,400円+税 ISBN 978-4-904702-61-1 C0095 2016年7月刊行 ブックデザイン 原研哉+大橋香菜子 ▼書評・記事 『TARZAN』2016年8月11日号 「グレイストーク書店のレコメン棚トーク」今号の4冊 http://hatoripress.blog.so-net.ne.jp/2016-08-08 ▼概要 束になってかかってみました。 『監督 小津安二郎』、『「ボヴァリー夫人」論』、『伯爵夫人』の著者は何者なのか? 27名の「非嫡出子」による蓮實重彦論。 *特別収録 蓮實重彦「姦婦と佩剣──十九世紀フランス小説『ボヴァリー夫人』を二十一世紀に論じ終えた老齢の批評家の、日本語によるとりとめもないつぶやき」(『新潮』2014年8月号) [目次] 姦婦と佩剣──十九世紀のフランス小説『ボヴァリー夫人』を二十一世紀に論じ終えた老齢の批評家の、日本語によるとりとめもないつぶやき 蓮實重彦 ボヴァリー夫人のことなどお話させていただきます──蓮實重彦先生へ 工藤庸子 『「ボヴァリー夫人」論』では思い切り贅沢をさせていただきました──工藤庸子さんへの返信 蓮實重彦 I 義兄弟の肖像──『帝国の陰謀』とその周辺をめぐって 田中 純(表象文化論) Sign‘O’the Times――『伯爵夫人』を読む 阿部和重(作家) 批評と贅沢──『「ボヴァリー夫人」論』をめぐって 菅谷憲興(フランス文学) 「二次創作」に抗する「二次創作」──蓮實重彦『「ボヴァリー夫人」論』の「序章 読むことのはじまりに向けて」と「I 散文と歴史」を読む 石橋正孝(フランス文学) A comme art, et ...──Aはart(芸術)のA、そして…… 橋本知子(フランス文学) 塵の教え──フィクションに関するとりとめない註記 森元庸介(思想史) さらなる「運動の擁護」へ 柳澤田実(哲学・キリスト教思想) 批評家とは誰か──蓮實重彦と中村光夫 中島一夫(文芸批評) 蓮實重彦のイマージュ、反イマージュの蓮實重彦──「魂の唯物論的擁護」とは何か 互 盛央(言語論・思想史) 「昨日」の翌朝に、「アカルイミライ」の約束もなく──蓮實重彦による「文学史」と「映画史」 片岡大右(フランス文学・社会思想史) II 蓮實教授との三時間、日本の列車の車中にて ペドロ・コスタ(映画監督) 映画からこぼれ落ちそうになる男 三浦哲哉(映画批評) 『監督 小津安二郎』の批評的事件 クリス・フジワラ(映画批評・プログラマー) 犯し犯される関係の破棄──曽根中生・蓮實重彦・日活ロマンポルノ 久山めぐみ(編集者) 見ることを与えられて──蓮實重彦への讃辞 エイドリアン・マーティン(映画研究) メディア化する映画──一九二〇/一九三〇年代から二〇〇〇/二〇一〇年代へ 中路武士(映画論・メディア論) 蓮實について リチャード・I・スヘンスキ(映画研究) 抽象化に対抗して──蓮實重彦の映画批評 イム・ジェチョル(映画批評) シネマとアメリカ──蓮實重彦のふたつの顔 入江哲朗(アメリカ哲学・思想史・映画批評) III 遭遇と動揺 濱口竜介(映画監督) 胸の高鳴りをおさえながら 三宅 唱(映画監督) 眼差しに導かれて 小森はるか(映像作家) 私は如何にして心配するのをやめて「ハスミ・シゲヒコ」の影響を脱したか 内藤 篤(弁護士・名画座館主) 恩師 蓮實先生 遠山右近(行政官) 不実なる誘いにのって 小川直人(学芸員) 蓮實のおじちゃま とよた真帆(女優) 『伯爵夫人』とその著者を論じるための権力論素描──編者あとがき 工藤庸子 蓮實重彦 著書目録 *執筆者(50音順) 阿部和重(作家) 石橋正孝(フランス文学/立教大学) イム・ジェチョル(映画批評) 入江哲朗(アメリカ哲学・思想史・映画批評/東京大学大学院) 小川直人(学芸員/せんだいメディアテーク) 片岡大右(フランス文学・社会思想史/東京大学) 工藤庸子(フランス文学) 久山めぐみ(編集者/文遊社) ペドロ・コスタ(映画監督) 小森はるか(映像作家) 菅谷憲興(フランス文学/立教大学) リチャード・I・スヘンスキ(映画研究/バード大学) 互 盛央(言語論・思想史/講談社) 田中 純(表象文化論/東京大学) 遠山右近(行政官) とよた真帆(女優) 内藤 篤(弁護士・名画座館主) 中路武士(映画論・メディア論/鹿児島大学) 中島一夫(文芸批評/近畿大学) 橋本知子(フランス文学/京都女子大学) 濱口竜介(映画監督) クリス・フジワラ(映画批評・プログラマー) エイドリアン・マーティン(映画研究) 三浦哲哉(映画批評/青山学院大学) 三宅 唱(映画監督) 森元庸介(思想史/東京大学) 柳澤田実(哲学・キリスト教思想/関西学院大学) ▼関連書 蓮實重彦 『「ボヴァリー夫人」拾遺』 工藤庸子 訳・解説 『いま読むペロー「昔話」』 田中純 『過去に触れる』 内藤篤『円山町瀬戸際日誌』
MORE -
桃山邑[編]『水族館劇場のほうへ』
¥6,380
B5判変型(H224×W182) 上製 452頁(カラー32頁) 本体価格 5,800円+税 ISBN 978-4-904702-41-3 C0074 2013年6月刊行 ブックデザイン 近藤ちはる(UltRA Graphics) 印刷 精興社 製本 牧製本印刷 *公演情報 *トークイベント (終了しました) 大島幹雄×桃山邑「サーカスと藝能」 古書ほうろう 2015年9月18日 http://horo.bz/event/oshimamikio-momoyamayu20150918/ ▼書評・記事 『文学』 2013年7・8月号〈特集:浅草と文学〉(岩波書店) 冒頭に「水族館劇場座主桃山邑に」と掲げた、高山宏先生の寄稿 「「尖端的だわね。」──『浅草紅団』の〈目〉」 が掲載されています 『西日本新聞』2013年8月11日書評 「本を閉じても心はまだ水族館劇場の世界を漂って、まるで、昼と夜が交差する一瞬の逢魔が刻の人さらいにあったよう。切ない懐かしい危うい心模様なのだ。」(評者 姜信子) 『東京新聞』2013年12月29日「2013 私の3冊」 姜信子「今年一番の不穏の書。この世のはずれの河原から逢魔が刻(とき)の幻のようにやってくる野外劇集団「水族館劇場」。その二十五年の道のりはまるで一瞬の夢みたいで、せつなくて、禍々しくて、人をかどわかしたり、ひそかに世界を揺さぶったり」 『本の雑誌』2014年1月特大号「2013年度 私のベスト3」 「この人たちのテント芝居を昔から見ていた。大仕掛けも、いかがわしさも、まるで祭りの見世物小屋のようで、終われば蜃気楼のように消えていく。でも、その人たちと挨拶一つしたことがない。テントはこの世の外のことなのだ。それがまるごと本になった。なんと無粋と思ったが、それでも読めばやはり面白い。一夜、途方もない物語を聞くようであった」(内堀弘) ▼概要 此の世の外へこぼれてゆけ ! ! 巨大な特設テント劇場で催される吃驚カーニヴァル 来たよで戸が鳴る 出てみりゃ風だよ 現代河原者の徒党による21世紀の明宿集! 水族館劇場は「スペクタクル」と「テアトロン」の、まさしく原義、原点に帰るべき劇団である。 ──学魔・高山宏 1987年の旗揚げ以来、野外劇・テント芝居をつづけてきた「水族館劇場」という名の芝居集団。みずから建てる巨大なテント劇場で繰りひろげる独自の世界は、年を追うごとに新たな観客をよびよせ、注目度を増している。水族館劇場の何が人を魅了するのか。一般の演劇とは一線を画した集団の、全貌と思想を明らかにする。 [主要内容] 水族館劇場旗揚げ25年、“いま”そして“これから” ・座長・桃山邑による書き下し、水族館劇場精神史「野戦攻城の旗」 ・表も裏も全公開、ブックパノラマ台本『NADJA 夜と骰子とドグラマグラ』 ・女優・千代次が語り下す、野外劇・テント芝居40年、寄せ場興行17年の軌跡 ・冬の寄せ場へ、路上芝居ユニット〈さすらい姉妹〉の『谷間の百合』台本 ・“水の劇場”をいろどりささえる、棟梁・舞台監督・美術の裏方座談会 ・早稲田演劇博物館、九州大学総合研究博物館での舞台・宣伝美術展を紙上再現 ・終わりなき旅へ誘う、高山宏・毛利嘉孝・津田三朗・梅山いつき特別寄稿 ・400点以上の写真で解き明かす、大仕掛けを自在にあやつる芝居集団の全貌 ▼劇団プロフィール 水族館劇場 1987年に桃山邑らによって結成された野外劇集団。中世河原者の系譜にみずからを位置づけて全国に神出鬼没。役者や裏方も鳶、踊り子、放浪芸人など、あらゆる階層から集結する。自分たちで 高さ13メートルにおよぶ巨大な仮設劇場(ごや)を建設。劇団の代名詞とも言える25トンにも及ぶ本水を使った演出、大掛かりな舞台装置、馬や白梟など動物も使って、既存の劇場では見ることのできない祝祭パノラマを現出。天幕は張るが、一度として同じ形の劇場をつくらない。いっぽうで寄せ場といわれる、現代社会の最下層労働者が蝟集する街にも進駐。〈さすらい姉妹〉として冬の路上で投げ銭芝居を上演。現代演劇の本流から大きく逸脱した傾奇者(かぶきもの)の精神が、四半世紀を経て注目をあつめている。2009年、企画展示「やぶれ船で流浪する水夫たち──水族館劇場20年の航跡」が早稲田大学坪内博士記念演劇博物館で、2012年には「場をつくる──大水族館劇場展」が九州大学総合研究博物館で開催された。 水族館劇場 公式HP http://www.suizokukangekijou.com/ ●編者プロフィール 桃山 邑(ももやま ゆう) 1958年生まれ。現代河原者にして水族館劇場座付作者。若い頃より建築職人として寄せ場を渡り歩く。1980年、曲馬舘最後の旅興行から芝居の獣道へ。驪團(りだん)を経て1987年に水族館劇場として、あたらしく一座創設。へっぽこ役者三人で大八車を引いて筑豊炭鉱街へむかう。東京に戻って劇場機構を拡大しながら、寺社境内を漂流してゆく。水族館劇場をいちど限りのメラヴィリアとして見物衆に堪能してもらうために危険な仕掛けをつぎつぎに考案、役者の反発を買いながら現在にいたる。不思議な縁でむすばれた、さまざまな世直しの一味とも連携をつづける。その試行がどこにたどりつくのか誰も知らない。
MORE -
鴻池朋子『どうぶつのことば──根源的暴力をこえて』
¥3,740
A5判 上製 384頁 本体価格 3,400円+税 ISBN 978-4-904702-63-5 C0070 2016年9月刊行 ブックデザイン 小川順子 *展覧会情報 神奈川県民ホールギャラリー 鴻池朋子展「根源的暴力」 2015年10月24日~11月28日 http://www.kanakengallery.com/detail?id=33712 群馬県立近代美術館 鴻池朋子展「根源的暴力vol.2 あたらしいほね」 2016年7月9日〜8月28日 http://mmag.pref.gunma.jp/kakoten/h28/h28exh02.htm 新潟県立万代島美術館 鴻池朋子展「皮と針と糸と」 2016年12月17日~ 2017年2月12日 http://banbi.pref.niigata.lg.jp/exhibition/%E9%B4%BB%E6%B1%A0%E6%9C%8B%E5%AD%90%E5%B1%95/ ▼書評・記事 共同通信/各紙 2016年10月16日 美術家が記す回復の記録(評者:椹木野衣) 「本書は、東日本大震災を経て、それまでの型にはまった自分の表現にまったくリアリティーを持てなくなった著者が、次第に作ることを回復していく現在進行形の記録である。その際、重要な導きの糸となったのが、動物という存在だった。‥‥」 『朝日新聞』 2016年10月30日 現代社会揺さぶるアートの力(評者:大竹昭子) http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2016103000003.html 『朝日新聞』 2017年3月9日 折々のことば 689(鷲田清一) 本書からの一節が引かれています。 http://www.asahi.com/articles/ASK383VWFK38UCVL004.html ▼概要 人間の思索のみに閉じるアートに、皮膚の森から啼き声があがる── アーティスト・鴻池朋子が、東日本大震災をきっかけに芸術の始まりに立ち戻り、人間がものをつくることを問い直す。さまざまな専門家との対話と、書き下ろしを収録。 対話の旅 矢野智司(教育人間学)、石倉敏明(芸術人類学)、吉川耕太郎(考古学)、村井まや子(比較文学、おとぎ話研究)、福住廉(美術評論家) [目次] 風が語った昔話 描くことも食べることも I あたらしい声 人間と動物の境界に出現するアート 矢野智司 動物絵本という謎──いつも動物がでてくる不思議 生命を開く動物絵本──子どもが動物になる アートが開く生命のへの途──洞窟から都市空間へ 世界を区切る境界線の生まれるところ──始原へ 「人間の向こう側」へ 石倉敏明 「新しい地図」を描く試み ひっくり返された世界像 つくれないアーティスト 鴻池朋子 トークセッション 矢野智司×石倉敏明×鴻池朋子 交換の原理を突破する 食べる食べられる関係 地球の穴とパブリックアートの役割 土の下の大きなウサギ 都市の起源にある暴力 II ダイアログの旅 「贈与」と「交換」 矢野智司×鴻池朋子 複数のドア 私とは何者か?と、問わない私とは何か 私の言葉は私のつくった言葉ではない 書き残さない人 物が異質な何かに変わる瞬間 生々しすぎるもの 賢治と似たような人々 「最初の先生」は何度も生まれてくる 森のなかの一軒家 既存を揺さぶるもの 世界の掴み方 贈与によって開かれる異類婚 初めてつくるもの 吉川耕太郎×鴻池朋子 始めてつくるもの──石器の出現 組み合わせる魔法 考古学が不得意である「心」 分類しないことで見えてくるもの 生きものが見渡せる町 狩猟──動物の擬人化 針と皮鞣し 切り離す男性、つなぐ女性 目に見えない文化 同じものではいられない 村井まや子×鴻池朋子 歴史的分類以外の分類──ポテトスープのつくり方 異類婚の花嫁衣装を縫う 使えるものは何でも使う 出現してきた父性 本当に恐ろしいものに出会うために 同じものではいられない──変身 見てはいけないものを見る おとぎ話の一読者であること wonder を引き出す wonder を共有する 夜の山を歩く子 福住廉×鴻池朋子 誰にでもできるもの そこに私はいませんよ そこにこそ何かがある 夜の山を歩く子 美術と無関係であるとは言わせない 起こっている途中 III どうぶつのことば 想像力 動物、猟 動物の言葉を借りにいく 旅にでる 「東北を開く神話」の声 地球の穴とパブリックアート 「美術館ロッジ」 飛ぶ小屋 氷結する絵 物語るテーブルランナー 自分の体験をオーブンで焼く 人間以外の声 地球の断面図 狼の下半身 地球はふたたび凍りはじめる 狼頭巾をかぶる少女 ある三匹の語り 東北の博物館職員の語り ある人類学者の語り ある女性の語り 皮緞帳をくぐり ▼プロフィール 鴻池 朋子(こうのいけ ともこ) 1960年秋田市生まれ。東京芸術大学日本画専攻卒業後、玩具と雑貨の企画、デザインの仕事に携わり、その後絵画、彫刻、アニメーション、絵本などの手法を駆使したインスタレーションで現代の神話を描き続ける。近年では、海外でのグループ展の他、ワークショップも国内外で多数開催。秋田では「東北を開く神話展」、人間と野生の境にある秋田県森吉山避難小屋での「美術館ロッジ」、歴史には記されない現代の民俗を記録する「物語るテーブルランナー」などの継続的なプロジェクトを行い、一方で、開発と地形の問題からパブリックアートの制作を続ける。 *著作 『インタートラベラー 死者と遊ぶ人』(羽鳥書店、2009年) 『焚書 World of Wonder 』(羽鳥書店、2011年) 『根源的暴力』 (羽鳥書店、2015年) 鴻池朋子 公式HP http://tomoko-konoike.com/ VOLCANOISE http://www.volcanoise.com/
MORE -
田中純『過去に触れる──歴史経験・写真・サスペンス』
¥5,500
A5判 並製 620頁 本体価格 5,000円+税 ISBN 978-4-904702-60-4 C3010 2016年4月刊行 ブックデザイン 原研哉+大橋香菜子 ▼書評・記事 『美術手帖』2016年7月号 『図書新聞』2016年7月23日号 上半期読書アンケート http://hatoripress.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22 『ハヤカワ ミステリ マガジン』2016年9月号「ミステリ サイド ウエイ」 『Book Club Kai News Letter』2016 summer (VOl. 102) ▼概要 「名のないもの」たちの記憶と秘密。 歴史的想像力が極度の緊張を持って過去に向かうとき、いまだ決定されていない未来がたちあがる。 歴史経験の現場で、思考の襞をたどる── 堀田善衞、宮沢賢治、橋川文三、松重美人、畠山直哉、牛腸茂雄、多木浩二、ヨーハン・ホイジンガ、アビ・ヴァールブルク、ジルベール・クラヴェル、ダニエル・リベスキンド、W・G・ゼーバルト、ヴァルター・ベンヤミン、ロラン・バルト、ジョルジュ・ディディ=ユベルマン 「過去に触れる」という「歴史経験」を探究するエッセイ集成。とりわけ写真を通した過去との接触という出来事に着目して、小説家、詩人、思想家、建築家、美術史家、文学者、写真家たちの具体的な歴史経験から「過去に触れる」瞬間を描きだす。また、その経験を伝達する歴史叙述のあり方を「サスペンス」の原理のうちに見出し、本書の探究もまた、サスペンスの様相を呈したスリリングな展開をみせる。「過去に触れる」旅の果てに見えてくる、歴史および写真における「希望」とは何か。書下しを含めた19本のエッセイでつむぐ。図版127点収録。 [主要目次] はじめに 序 危機の時間、二〇一一年三月 第1章 歴史の無気味さ──堀田善衞『方丈記私記』 第2章 鳥のさえずり──震災と宮沢賢治ボット 第3章 渚にて──「トポフィリ──夢想の空間」展に寄せて 第4章 希望の寓意──「パンドラの匣」と「歴史の天使」 I 歴史の経験 第1章 過去に触れる──歴史経験の諸相 第2章 アーシアを探して──アーカイヴの旅 第3章 半存在という種族──橋川文三と「歴史」 第4章 いまだ生まれざるものの痕跡──ダニエル・リベスキンドとユダヤ的伝統の経験 II 極限状況下の写真 第1章 剥ぎ取られたイメージ──アウシュヴィッツ=ビルケナウ訪問記 第2章 歴史の症候──ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『イメージ、それでもなお』 第3章 イメージのパラタクシス──一九四五年八月六日広島、松重美人の写真 III 歴史叙述のサスペンス 第1章 迷い蛾の光跡──W・G・ゼーバルトの散文作品における博物誌・写真・復元 第2章 歴史素としての写真──ロラン・バルトにおける写真と歴史 第3章 歴史小説の抗争──『HHhH』対『慈しみの女神たち』 第4章 サスペンスの構造と歴史叙述──『チェンジリング』『僕だけがいない街』『ドラ・ブリュデール』 第5章 歴史という盲目の旅──畠山直哉『気仙川』を読む IV 歴史叙述者たちの身振り 第1章 歴史の現像──ヴァルター・ベンヤミンにおける写真のメタモルフォーゼ 第2章 記憶の色──ヴァルター・ベンヤミンと牛腸茂雄の身振りを通して 第3章 「歴史の場(ヒストリカル・フィールド)」の航海者──「写真家」多木浩二 結論 歴史における希望のための十のテーゼ 註/跋/書誌・フィルモグラフィ/図版一覧/人名索引/事項索引 ▼プロフィール 田中 純 (たなか じゅん) 1960年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授・表象文化論(思想史・イメージ分析)。 [主要著書] 『都市表象分析I』(INAX出版、2000) 『ミース・ファン・デル・ローエの戦場』(彰国社、2000) 『アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮』『死者たちの都市へ』(青土社、2001、2004、サントリー学芸賞受賞) 『都市の詩学──場所の記憶と徴候』(東京大学出版会、2007、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞) 『政治の美学──権力と表象』(東京大学出版会、2008、毎日出版文化賞受賞) 『イメージの自然史──天使から貝殻まで』(羽鳥書店、2010) 『建築のエロティシズム 世紀転換期ウィーンにおける装飾の運命』(平凡社新書、2011) 『冥府の建築家 ジルベール・クラヴェル伝』(みすず書房、2012) 『イメージの自然史──天使から貝殻まで』(羽鳥書店、2010) 公式ブログ Blog (Before- & Afterimages) http://news.before-and-afterimages.jp/index.html *『過去に触れる』関連書籍リスト 選書・田中純 http://before-and-afterimages.jp/news2009/2016/04/post-227.html
MORE -
姜信子『はじまりはじまりはじまり』
¥2,640
四六判 上製 80頁(オールカラー) 本体価格 2,400円+税 ISBN 978-4-904702-55-0 C0095 2015年9月刊行 ブックデザイン 大西隆介(direction Q) *刊行記念 原画展示&トークイベント 2015年9月1日(火)~9月10日(木) トークイベント 9/9(水) 19:00~ 出演:姜信子 司会:跡上史郎 ゲスト:渡部八太夫 熊本 橙書店 http://www.zakkacafe-orange.com/top/ 2015年9月22日(火・祝)~10/3(土) オープニングパーティー 9/22(火・祝) 18:00~ トークイベント 10/2(金) 19:00~ 出演: 姜信子 ゲスト: 山福朱実、屋敷妙子、早川純子、塩川いづみ 東京築地 ふげん社 http://fugensha.jp/ ▼書評・記事 『東京新聞』夕刊 2015年10月24日 「神話を思わせる三つの物語が、美しい挿絵とともに収録されている。中の一作「うたのはじまり」には、ある詩と、その制作にまつわるエピソードが盛り込まれた。詩は3・11後に開かれた「足りない活字のためのことば展」に著者が寄せたもの。被災した印刷工場の床に散らばり廃棄されそうになっていた「文字の足りない活字」を使って作った。詩の成り立ちが、物語の中の神話と結び付く。」 ▼概要 〈はじまり〉を生きる者たちの歌 済州島から、サハリン、台湾、八重山へ── 路傍の声に耳傾け、旅人がめぐる3つの〈はじまり〉 姜信子が書下し、4人の画家が描く〈はじまり〉の物語 [画]山福朱実、屋敷妙子、早川純子、塩川いづみ 「あいのはじまり」 石が語る神話ソルムンデハルマン 「うたのはじまり」 文字をなくしたウイルタとブヌンの民 「たびのはじまり」 永遠の旅人まゆんがなし ▼プロフィール 姜信子(きょう のぶこ) 1961年横浜市生まれ。詩人・作家。86年、「ごく普通の在日韓国人」でノンフィクション朝日ジャーナル賞受賞。主著に『かたつむりの歩き方』『私の越境レッスン』『うたのおくりもの』(以上、朝日新聞社)、『日韓音楽ノート』『ノレ・ノスタルギーヤ』『ナミイ! 八重山のおばあの歌物語』『イリオモテ』(以上、岩波書店)、『棄郷ノート』(作品社)、『安住しない私たちの文化』(晶文社)、『今日、私は出発する ハンセン病と結び合う旅・異郷の生』(解放出版社)、『はじまれ 犀の角問わず語り』(サウダージ・ブックス+港の人)ほか。翻訳に李清俊『あなたたちの天国』(みすず書房)、共著に『追放の高麗人』(アン・ビクトルと、石風社)、『旅する対話』(ザーラ・イマーエウと、春風社)、編集に『死ぬふりだけでやめとけや 谺雄二詩文集』(みすず書房)等。近著に『生きとし生ける空白の物語』(港の人)、『声 千年先に届くほどに』(ぷねうま舎)。路傍の声に耳傾けて読む書く歌う旅をする日々。
MORE -
蓮實重彦『「ボヴァリー夫人」拾遺』
¥2,860
四六判 上製 312頁 本体価格 2,600円+税 ISBN 978-4-904702-49-9 C0095 2014年12月刊行 ブックデザイン 原研哉+大橋香菜子 印刷 精興社 製本 牧製本印刷 ▼概要 文学批評の金字塔『「ボヴァリー夫人」論』の刊行前後の講演および著者による『ボヴァリー夫人』の要約を収める。 [目次] フローベールの『ボヴァリー夫人』──フィクションのテクスト的現実について 「かのように」のフィクション概念に関する批判的な考察──『ボヴァリー夫人』を例として フローベールの『ボヴァリー夫人』をめぐって──珊瑚樹と晴雨計の置かれた天井の低い部屋について とことん『「ボヴァリー夫人」論』を語る──リゾンからヨンヴィルまで 【鼎談】“生まれたばかりの散文”と向き合う 蓮實重彦×工藤庸子×菅谷憲興 【鼎談】「シャルル・ボヴァリーは私だ」 蓮實重彦×渡部直己×菅谷憲興 『ボヴァリー夫人』には、いかなる事態がどのように推移しているか──要約というには長すぎるテクスト要約の試み 初出一覧/あとがき/書誌 ▼プロフィール 蓮實 重彦(はすみ しげひこ) 1936年東京生まれ。 60年東京大学文学部仏文科卒。 大学院進学後、フランス政府給費生としてパリ大学に留学。 フローベール『ボヴァリー夫人』に関する論文で 65年に同大学文学人文科学部から博士号取得。 東京大学教養学部講師、助教授を経て、88年に教授。 93年から95年まで教養学部長、95年から97年まで副学長を歴任。 97年4月から2001年3月まで東京大学26代総長。現在は名誉教授。 『凡庸な芸術家の肖像──マクシム・デュ・カン論』(88年、青土社、近く講談社文芸文庫より再刊予定)で88年度芸術選奨文部大臣賞受賞、『監督 小津安二郎』(83年、筑摩書房)の仏訳Yasujiro Ozuはフランス映画批評家連盟文芸賞受賞。2014年6月に、原稿用紙2000枚の書下ろし『『ボヴァリー夫人』論』を刊行(筑摩書房)。その他著作多数。 文芸批評家・映画評論家としての貢献は海外でも高く評価され、97年にパリ第8大学から名誉博士号取得、99年フランス政府の「芸術文化勲章」受賞。
MORE -
工藤庸子[訳・解説]『いま読むペロー「昔話」』
¥2,200
SOLD OUT
B6判 上製 218頁 本体価格 2,000円+税 ISBN 978-4-904702-42-0 C0097 2013年10月刊行 装画 鴻池朋子 ブックデザイン 小川順子 印刷 精興社 製本 牧製本印刷 *刊行記念トークイベント (終了しました) 工藤庸子(仏文学者)×鴻池朋子(現代アーティスト)トークショー 「ペロー『昔話』:太古の夢想の森へ」 [日時]2013年11月22日(金) 19:00~21:00(18:30開場) [会場]エスパス・ビブリオ ▼書評・記事 『朝日新聞』2014年1月12日書評 「童話にあるようなモラルがここにはない。読む者は「突き放される」。しかし、このように突き放されるところに「文学のふるさと」があるのだ、という。/以来、私はペローの昔話が気になりいつか調べてみようと思っていたが、その機会がなかった。新訳と詳細な解説が付された本書は、そのような疑問に答えてくれるものであった」(評・柄谷行人) http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2014011400003.html ▼概要 文芸サロンで解き放たれる太古の夢想── 赤ずきんに「赤い」頭巾をかぶせ、猫に「長靴」をはかせた、17世紀フランスの宮廷作家シャルル・ペローとは何者か? 世界中で読み継がれてきたペローの『昔話』は、もともと大人向けの読み物として貴族の文芸サロンで誕生した。民間伝承と宮廷文化との出会いから生まれた物語の背景をふまえ仏文学者・工藤庸子が新たに訳す。充実の解説付。 [目次] マドモワゼルに捧ぐ 眠れる森の美女 赤頭巾 青ひげ 猫の大将 または長靴をはいた猫 仙女たち サンドリヨン または小さなガラスの靴 巻き毛のリケ 親指小僧 訳者解説 ペロー『昔話』と三つの謎 訳者あとがき ▼訳者プロフィール 工藤庸子(くどう ようこ) 1944年生まれ。東京大学名誉教授。専門はフランス文学、ヨーロッパ地域文化研究。 [主な著書] 『プルーストからコレットへ──いかにして風俗小説を読むか』(中公新書、1991年) 『小説というオブリガート──ミラン・クンデラを読む』(東京大学出版会、1996年) 『恋愛小説のレトリック──『ボヴァリー夫人』を読む』(東京大学出版会、1998年) 『フランス恋愛小説論』(岩波新書、1998年) 『ヨーロッパ文明批判序説──植民地・共和国・オリエンタリズム』(東京大学出版会、2003年) 『宗教vs.国家──フランス〈政教分離〉と市民の誕生』(講談社現代新書、2007年) 『近代ヨーロッパ宗教文化論──姦通小説・ナポレオン法典・政教分離』(東京大学出版会、2013年) 『評伝 スタール夫人と近代ヨーロッパ──フランス革命とナポレオン独裁を生きぬいた自由主義の母』(東京大学出版会、2016年) 『論集 蓮實重彦』(編著、羽鳥書店、2016年) [主な訳書] アンリ・トロワイヤ『女帝エカテリーナ』(中央公論社、1980年) フロベール書簡選集『ボヴァリー夫人の手紙』(筑摩書房、1986年) バルガス・リョサ『果てしなき饗宴』(筑摩書房、1988年) コレット『牝猫』(岩波文庫、1988年) ミシェル・フーコー『幻想の図書館』(哲学書房、1991年) ミシェル・ビュトール『ディアベリ変奏曲との対話』(筑摩書房、1996年) プロスペール・メリメ『カルメン』(新書館、1997年) ピエール・ロティ『アジヤデ』(新書館、2000年) コレット『わたしの修業時代』(ちくま文庫、2006年) バルザック『ランジェ公爵夫人』(集英社、2008年) コレット『シェリ』(左右社、2010年) マルグリット・デュラス『ヒロシマ・モナムール』(河出書房新社、2014年)
MORE -
松浦寿輝『波打ち際に生きる』
¥2,420
四六判 上製 168頁 本体価格 2,200円+税 ISBN 978-4-904702-40-6 C1095 2013年5月刊行 ブックデザイン 原研哉+大橋香菜子 印刷 精興社 製本 牧製本印刷 ▼書評・記事 『読売新聞』 2013年6月2日書評 「「波打ち際に生きる──研究と創作のはざまで」と題する講演では、研究よ創作、教師と学生など様々な「波打ち際」のような場所で仕事をしてきた著者の東日本大震災後の思いもかたられている」。 『毎日新聞』 2013年6月30日書評 「詩人であり小説家であり批評家である著者は昨年3月、定年まで7年を残して東京大学の教壇を去った。その際におこなった「退官記念講演」と「最終講義」をまとめた本だが、柔軟かつ強靭な知的刺激に満ちている」。 ▼概要 詩人・小説家・批評家・研究者 松浦寿輝は、どのようにして成ったか 東京大学で教鞭をとりながら、詩人・小説家・批評家として活躍してきた著者の「東京大学退官記念講演」(2012年1月16日)と「東京大学最終講義」(2012年4月26日)を一冊にまとめる。巻末には、著者のコメント付き著作一覧を収録。 東京大学退官記念講演 「波打ち際に生きる──研究と創作のはざまで」 「波打ち際の心もとなさ」という感覚を手がかりに、これまでの仕事の流れを振り返り、貫いてきたものを考える。 最終講義 「Murdering the Time──時間と近代」 近代以降の重要なテクストに時間の主題がどのように現れているかを分析し、「時間システム」の拘束とそこからの解放の欲求という葛藤の構図を炙り出す。 松浦寿輝著作一覧──著者自身によるコメント ▼プロフィール 松浦寿輝(まつうら・ひさき) 1954年東京生まれ。作家、詩人。1988年に詩集『冬の本』で高見順賞、95年に評論『エッフェル塔試論』で吉田秀和賞、2000年に小説『花腐し』で芥川賞、05年に小説『半島』で読売文学賞を受賞するなど、縦横の活躍を続けている。東京大学名誉教授。
MORE -
小林康夫『こころのアポリア──幸福と死のあいだで』
¥3,520
四六判 並製 432頁 本体価格 3,200円+税 ISBN 978-4-904702-39-0 C1010 2013年4月刊行 ブックデザイン 原研哉+大橋香菜子 印刷 精興社 製本 牧製本印刷 ▼書評・記事 『信濃毎日新聞』2013年6月23日、『南日本新聞』『大阪日日新聞』等 「「こころ」と題したテキストでは、世阿弥「檜垣」の老女が取り上げられる。白川の水をくみ続けながら、水の理に逆らって昔の火の理に帰ろうとする元・白拍子の両義的なこころの場を描く。(中略)32編の論考を収録」。 ▼概要 イデアの人 小林康夫の思惟のタペストリー 32のエッセー・小論を、辞書的項目を掲げてまとめる ここ十数年のあいだに、それぞれまったく異なる機会に書かれた32本。 「幸福」と「死」の両極のあいだで、そのときどきの生と思考の痕跡を記す。 「〈屑〉という本質的に断片である〈非-作品〉を取り集めることによって『無の光』が差し込むべき場をつくるという発想を惹起した。そうしたら、そのような非-統一性の場として、(もちろん矛盾の表現だが)不完全な「辞書」の空間のうちに自分が書き散らした〈生の破片〉、〈屑〉としてのテクストすべて投げ込もうか、という乱暴な計画が勃発した」(「あとがき」より) [目次] Ⅰ 幸福の器 1 幸福────モーツァルト『魔笛』 2 レペルトワール────存在を焼く火 Ⅱ こころのアポリア 3 こころ────世阿弥『檜垣』 4 スコレー/エネルゲイア────坂部恵の〈風〉 Ⅲ からだの真実 5 身体────われわれがそれであるもの 6 触覚なき接触────グレン・グールドと電気掃除器 7 手────ロラン・バルトの〈不器用さ〉 8 味気なさ────ロラン・バルト『中国旅行ノート』 9 a Cup of Humanity────岡倉天心『The Book of Tea』 10 秘密────「プライバシーの境界線」 11 逸脱────ヴァルター・ベンヤミンの「摂取同化」 Ⅳ 世界という庭で 12 物質的流動────モネの〈庭〉 13 アナーキズム────吉田喜重「美の美(モネ)」 14 空虚────ミシェル・フーコー『マネ論』 15 庭/織物────フランソワ・ルーアンのタブロー 16 青の神秘────Viktor & Rolf の「青」展 Ⅴ イマージュ/文字 17 イマージュ────宮川淳『鏡・空間・イマージュ』 18 顔────こんなにもあからさまで、こんなにも秘密の神秘 19 純粋な場所────佐伯祐三のパリの壁 20 見えるものと見えないもの────「白と黒」展 21 原-書────雪舟《破墨山水図》の方へ Ⅵ 声のダイモーン 22 遠隔作用────ニーチェ/ハイデガー/デリダの〈耳〉 23 ダイモーン────モデルニテにおける詩の根拠 24 呼びかけ────吉増剛造『オシリス、石の神』 25 名────吉増剛造『The Other Voice』 26 現-(da-)────吉増剛造『表紙』 27 エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ────大貫隆『イエスの経験』 28 religio────詩とreligio Ⅶ 終わりなき終わり 29 終わりなきもの────ショパン「ソナタ変ロ短調」 30 恐るべき否定性────「存在は苦である」 31 芸術の終わり────モロッコ海岸のレイヨウ(デュラス) 32 光────地中海の光を浴びて あとがき 人名索引 ▼プロフィール 小林康夫(こばやし やすお) 1950年東京都生まれ。東京大学名誉教授、青山学院大学大学院総合文化政策学研究科特任教授。表象文化論、現代哲学。 著書に、『起源と根源──カフカ・ベンヤミン・ハイデガー』(1991年)、『表象の光学』(2003年)、『歴史のディコンストラクション──共生の希望へ向かって』(2010年)、『存在のカタストロフィー──〈空虚を断じて譲らない〉ために』(2012年)(以上、未來社)、『光のオペラ』(筑摩書房、1994年)、『出来事としての文学──時間錯誤の構造』(講談社学術文庫、2000年)、『青の美術史』(平凡社ライブラリー、2003年)など多数。
MORE -
小野智美『女川一中生の句 あの日から』(はとり文庫004)
¥1,100
★現在、重版製作中です。 重版に伴い、3月中旬より本体価格を900円から1,000円に改定させていただきます。 A6判 並製 160頁 本体価格 1000円+税 ISBN 978-4-904702-36-9 C0030 2012年7月刊行 ブックデザイン 原研哉+中村晋平+大橋香菜子 印刷・製本 サンエムカラー ▼書評・記事 『本の雑誌』 2013年7月号 久田かおりさんが「会いたいけど会えない小説ガイド」で紹介してくださいました。「フタをして忘れようとしていた心の痛みを17文字に込めて吐き出した彼らの明日の幸せを祈らずにはいられない。(中略)ただ、ただ、一人でも多くの人に、この一冊を届けたい、そう思う」。 http://www.webdoku.jp/honshi/2013/7-130603174000.html ▼概要 景色が一変した故郷、女川町 五七五にこめる中学生たちの想い 津波が町を襲ったあの日から──2011年5月と11月に、宮城県女川第一中学校で俳句の授業が行われた。家族、自宅、地域の仲間、故郷の景色を失った生徒たちが、自分を見つめ、指折り詠んだ五七五。記者として編者は、友や教師や周囲を思いやり支えあう彼らの姿、心の軌跡を丹念にたどる。 記者である編者は、生徒たち一人ひとりと対話を重ね、彼らの俳句を紹介する記事を執筆した。2012 年1 月13 日~4 月13 日に朝日新聞宮城版に連載された記事の全文、および女川一中の担当教諭の寄稿、記事の後日談などの書き下ろし文章も収録。 [目次] はしがき (生徒たち22名の句の紹介)*当サイトではお名前をふせています 俳句で鍛え上げられた言葉 佐藤敏郎教諭「十五の心 国語科つぶやき通信」 大内俊吾校長の式辞 阿部航児さんの答辞 世界を駆けめぐった 最後の教材「レモン哀歌」 父と娘の15カ月 2度目の春 共振共鳴した日々を刻む すべては五七五の中に 佐藤敏郎 編者あとがき ▼編者プロフィール 小野智美(おの さとみ) 朝日新聞記者。1965年名古屋市生まれ。88年、早稲田大学第一文学部を卒業後、朝日新聞社に入社。静岡支局、長野支局、政治部、アエラ編集部などを経て、2005年に新潟総局、07年に佐渡支局。08年から東京本社。2011年9月から仙台総局。宮城県女川町などを担当。東松島市在住。著書に『50とよばれたトキ──飼育員たちとの日々』(羽鳥書店、2012年)。 *プロフィールは刊行当時(2020年現在、東京本社勤務)
MORE -
小野智美『50とよばれたトキ──飼育員たちとの日々』
¥2,090
四六判 並製 208頁(カラー口絵8頁) 本体価格 1,900円+税 ISBN 978-4-904702-33-8 C0095 2012年5月刊行 ブックデザイン 有山達也+中島美佳(アリヤマデザインストア) 装画・挿画 がんも大二 印刷 精興社 製本 牧製本印刷 ▼書評・記事 佐渡のトキの話題や、トキに関わる取り組み、地域づくりなどを紹介するサイト「佐渡トキの話題」に『50とよばれたトキ』が紹介されました。 http://sado-toki-no-wadai.cocolog-nifty.com/sadozo/2012/07/post-ef40.html 『季刊ritokei(リトケイ)』2016年秋号(NO.18)「島Books & Cluture~Topics 島をより深く味わう1冊」 ▼概要 帽子に救われたトキ 真っ白なおしりから、光る卵がこぼれおちた。 帽子の中へすとん──「うわっ」 新米飼育員がとっさに受けとめた卵から生まれた50は、戦後の佐渡島で人の手によって育てられる五十番目のトキ。50とその家族、佐渡トキ保護センターの人々との、にぎやかでせつない毎日をつづる。 きれい好きで、おくびょうで、きちょうめんで、けなげなトキ。顔は真っ黒から灰色、レモン色、オレンジ色、そして赤色へ。羽は真っ白だったり、灰色に染まったり、朱鷺色に輝いたり。──知られてこなかったトキの多彩な姿を描く [目次] 50とその家族 佐渡トキ保護センターの案内図 佐渡トキ保護センターの紹介 はじめに──帽子で救われた卵 1章 初めての卵 飼育員になる/獣医師に会う/握手をかわす/弟子と師匠/キンに会う/卵を助ける 2章 名のない子 呼吸する卵/卵が動いた/さかごの卵/ヒナの誕生/えさを作る/失敗をこえて 3章 巣立ちの日 洗面器で日光浴/やさしいオス/ヒナたちの成長/ホオアカトキの子/八羽で引越し/わが家 4章 50の結婚 ドジョウだいすき/キンの小指/別れの朝/運命のリング/たたかう親/お見合いの日 5章 母になる日 こだわりの巣作り/初めての子育て/川の字/危機一髪/ストレス/ヒナの骨折 6章 共に歩んだ きずな/卵の法則/山の訓練所/冬の事故/大事な子/娘の旅立ち おわりに──飛ばせない飼育員 解説 保護の歴史/里のくらし/道拓いた人/導いたトキ/えさの開発 あとがき 登場人物の紹介 ▼プロフィール 小野 智美(おの さとみ) 朝日新聞記者。1965年名古屋市生まれ。88年、早稲田大学第一文学部を卒業後、朝日新聞社に入社。静岡支局、長野支局、政治部、アエラ編集部などを経て、2005年に新潟総局、07年に佐渡支局。08年から東京本社。09年9月に人事セクション採用担当課長。2011年9月から仙台総局。宮城県女川町などを担当。東松島市在住。 装画・挿画 がんも大二(がんも だいに) http://ganmodaini.com/website/ganmodaini.html 愛知県生まれ。絵本 『パトさん』(羽鳥書店、2011年)
MORE -
高山宏『夢十夜を十夜で』(はとり文庫003)
¥1,650
A6判 並製 312頁 本体価格 1,500円+税 ISBN 978-4-904702-30-7 C0070 2011年12月刊行 ブックデザイン 原研哉+中村晋平+大橋香菜子 印刷・製本 大日本法令印刷 *重版に際しまして、本体価格の変更をさせていただきました。1300円から1500円となります。ご了承ください。 (市場に流通している初版は1300円のままです。価格は、本体に記されているバーコードと本体価格表記に応じます) ▼書評・記事 ▼概要 大冊『新人文感覚』全2巻『風神の袋』『雷神の撥』に続く、高山宏の新境地。 学生たちと読み解く夏目漱石『夢十夜』の世界。書き下ろし300枚。驚きの想像力を発揮する学生たちと教師・高山宏との白熱コラボレーションが、 漱石研究へ新たな一石を投じる。 ▼プロフィール 高山 宏(たかやま ひろし) 1947年、岩手県久慈市生まれ。現在、大妻女子大学比較文化学部教授。 1968年刊行の『観念史事典』に魅了され、学の行き詰りがどういう感覚のどういう人々によって突破されるかの構造と歴史を追うのに夢中となり、結果的に領域横断的試みを続けるもの書きの一人となる。翻訳の質量は伝説的で、本人自身は翻訳家、最近はアート(Art/Ars)の人としての自覚が強い。別名学魔。 著訳書多数。代表作と本人信じるのは依然として「アリス狩り」4部作『アリス狩り』『目の中の劇場』『メデューサの知』『綺想の饗宴』(青土社)。翻訳ではロザリー・L・コリー『パラドクシア・エピデミカ』(白水社)。2011年に、合計2000頁近くにおよぶ大冊『新人文感覚』全2巻、『風神の袋』『雷神の撥』を刊行(羽鳥書店)。 高山 宏 『新人文感覚』全2巻 学魔・高山宏のここ15年間の集大成。全2巻、原稿枚数3500枚、図版840点。 数枚のエッセイから、60枚におよぶ論考まで、各87本収録。 『新人文感覚1 風神の袋』 『新人文感覚2 雷神の撥』
MORE -
高山宏『新人文感覚2 雷神の撥』
¥14,300
A5判 上製 1008頁 本体価格 13,000円+税 ISBN 978-4-904702-29-1 C0070 2011年11月刊行 ブックデザイン 馬面俊之 印刷 精興社 製本 牧製本印刷 *高山 宏 『新人文感覚』全2巻 学魔・高山宏のここ15年間の集大成。全2巻、原稿枚数3500枚、図版840点。 数枚のエッセイから、60枚におよぶ論考まで、各87本収録。 『新人文感覚1 風神の袋』 ▼書評・記事 ▼概要 各編タイトルの曲芸振りに始まり、 知の仏壇返す離れ業で本文を締める。 これじゃあ雷さまも撥鳴らして アンコール叫んじゃうタカヤマ文芸座! ──荒俣宏 (帯文より) フィギュラリズム、マンガ、笑い──マニエリスムの歴史と表象を闊歩する! [目次] 1 たかが英文学、されど英文学いのちがけ カタけりゃいいってもんじゃない──アルス・アマトリア論文術 桃山時代へスリップ・イン 図書館の五万数千冊のカード化に明け暮れた日々 マガジニズムという「小さな」マニエリスム 翻厄こんにゃく、或は命がけ 訳者の告白 この訳、機知甲斐ざたにつき──『フィネガンズ・ウェイク』解題 腐海の風景 キュアリアス・ビューティ──ウォルター・ペイター Born to be Wilde クリティックなんて「プー」!──A・A・ミルン文学の「プー」ラドックス プーはそこに降りて──子供部屋の中の森について 児童が問う百科、児童を問う百科 松岡正剛『遊学』 巽の方角に宝あり 椿説・由良君美の周辺 舞台吹き抜く松風のごとく 2 アリス・イン・ジ・アンダーグラウンド 1960s あまりにもボヘミアン──ルイス・キャロル新考 意味に風穴──六〇年代のキャロル・リヴァイヴァル 送──僕らは龍を殺せるか ラビリンスの時代 アリス・イン・フィギュアランド アリス・リミナル──ヤン・シュヴァンクマイエルとドロテア・タニング 「スラヴ」という世紀末的パラミーター 東欧が生んだ極上の不条理アート 「自然の歴史」のメタ映像化──ヤン・シュヴァンクマイエル作品集 アニメーティッド・ハウス──シュヴァンクマイエルとゴシック小説 69、何てエロチック──ヤン・コット追悼 ローマ発、異貌の英文学──マリオ・プラーツ マニエリスムのキケロー 新世紀シェイクスピア、いよいよ面白く──二〇〇〇年シェイクスピア祭記念講演 目を閉じて見る場所 パラドックスの毒 オンブロマニア──プロジェクションの近代史 四世紀たった今 近代的視覚空間の魅惑と閉塞を“視覚化”したやなぎみわの創意 夢の時間をありがとう 3 「マンガは萬画である」 こうしてくるんとひとまわり──絵本表象論・覚え メディア・コミックス──わずか四十年で四百年全表象史を駆け抜ける アニメーティングなもの──少しおおげさかも知れない 天真爛漫百貨店──『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』 ぼくらを救った青春球場──『巨人の星』 ちば漫画の魅力──コマの中の空間の広がり 一九六九、青春東大望都暮し 4 見えるものはこんなにも楽しい(Ⅱ)──表象論応用篇 フィギュラティーフ──マサンのコレクションに寄せて メディア・ポエティックス──『オルペウスの声』と『メディアの法則』 「カトリック・パラノイア」の二十一世紀への遺言──マクルーハン『メディアの法則』 レター・コンシャス 遅さの豊かさ──エピストラリー・モード 電話が十七世紀からかかってくる──テレフォニックス論 球体ミレ二ア 近代が載る奔放なテーブル──OEDへの感謝 辞書放蕩 インテリア・バード──鳥、女、表象 遊弋する図像──クジラのイメージ瞥見 商標図像学入門 ヨハネ黙示録の終末界を行く フォーリング──多岐にして不可解なる世紀末に 「鳥の目」の文化史 鳥の目と虫の目──鳥瞰の近代史 月へトリップ──戸川純 讃 建築的創造力 5 ホモ・リーデンス(笑うヒト)になる──山口昌男 讃 夥しさの図像学 「笑い」が癒す遠近法の中の近代──一九六〇年代後半の「方法としての笑い」 逆説を弄す安吾 馬なき騎士が荒地を行く──『モンティ・パイソン』と『ホーリー・グレイル』 スラップスティック・シックスティーズ──トランスパーソナル心理学と 境界走殺──世紀末、「走り」の意味論 しまいにゃ笑うぞ──天才たけしの元気が出る世紀末 「ぼくんち」と呼ばれた笑い 郷愁映画のような昭和二十年代 ある夜のマレビト 6 マニエリスム、今日は──種村季弘 讃 終りのはじまり──種村季弘先生追悼 さよなら、カマラーデ──若桑みどり先生追悼 前衛と求道──多木浩二先生追悼 身内と胎内──『失われた庭』の僕 細部近代論覚え メディアの中の忍者学──六方手裏剣に仮託されたマニエリスム時代のトリックスター あらかじめ否定された「あとがき」──澁澤龍彦『サド復活』 「常数」としてのマニエリスム──ホッケ『迷宮としての世界』 イギリスからはじめて、話しはドイツ、フランス、イタリアなどユーロ圏に及ぶ──ネオ・バロック小説のこと 怪物の世界──「凶事」としてのロマン ほう、ホッケ教! マニエリスムの翻訳、翻訳のマニエリスム エンサークルメント──冲しきが若し 物語としてのキュレーション 7 さよならだけが人生だ 往生の物語──二〇〇二年七月 雷神口上 初出一覧/事項索引/書名索引/人名索引 ▼プロフィール 高山 宏(たかやま ひろし) 1947年 岩手県に生まれる 1974年 東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了 現 在 大妻女子大学比較文化学部教授 [主要著書] 『アリス狩り』(青土社、1981、新版2008) 『テクスト世紀末』(ポーラ文化研究所、1992) 『ブック・カーニヴァル』(自由国民社、1995) 『カステロフィリア──記憶・建築・ピラネージ』(叢書メラヴィリア1、作品社、1996) 『エクスタシー──高山宏椀飯振舞I』(松柏社、2002) 『近代文化史入門──超英文学講義』(講談社学術文庫、2007)[『奇想天外・英文学講義』(講談社選書メチエ、2000)を改題] 『超人高山宏のつくりかた』(NTT出版、2007) 『かたち三昧』(羽鳥書店、2009) 『新人文感覚1 風神の袋』(羽鳥書店、2011) 『夢十夜を十夜で』(羽鳥書店、2011)
MORE -
高山宏『新人文感覚1 風神の袋』
¥13,200
A5判 上製 904頁 本体価格 12,000円+税 ISBN 978-4-904702-27-7 C0070 2011年8月刊行 ブックデザイン 馬面俊之 印刷 精興社 製本 牧製本印刷 *高山 宏 『新人文感覚』全2巻 学魔・高山宏のここ15年間の集大成。全2巻、原稿枚数3500枚、図版840点。 数枚のエッセイから、60枚におよぶ論考まで、各87本収録。 『新人文感覚2 雷神の撥』 ▼書評・記事 ▼概要 観相学やら聖俗学やらを、 語源風神が吹き飛ばす。 高山見ずして、本読むな。 ──松岡正剛 (帯文より) 18世紀、「歩く」「見る」ことから一挙に花開いていった、観相学(フィジオノミー)の発達、推理小説の技術革新、ピクチャレスクの旺盛、百科総覧による視覚文化の横溢を、洋の東西を往還しながら、絢爛豪華に展開。 *訂正 本書の内容につきまして訂正がありましたのでお知らせいたします。ご迷惑をおかけしますが、ご参照いただけますようお願いいたします。 『新人文感覚1 風神の袋』 正誤表(2011年8月11日) http://www.hatorishoten.co.jp/teisei_fujin.pdf [目次] 1 ホモ・アンブランス(歩くヒト)になる──歴史を「歩き」直す方法 ゆっくり歩く 見えてくる 歩く、見る、書く──フィジオノミーというメソッドについて 物量と記号が氾濫する時代には、「小説」がふさわしい デフォー、あるいは〈敵〉? 近代の寓話──ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』 暗号で書かれた日記──サミュエル・ピープス『日記』 性懲りもなく証拠──ドキュメントの近代史 風刺の黄金時代を嗤う もう結構な話──ロレンス・スターン『トリストラム・シャンディ』 ポンス熱死 運命ヴィジュアル 破顔一笑の本 フィジオノミー世紀末──顔で歴史を読む 禿頭王の恥じに始まる──かつらの近代史異説 「自由」をかぶった近代人──かつらの文化史、一番肝心なこと ザッツ・キャラクタリスティック──気質文学東西 逸れるたのしさ──「キャラクターをめぐって」 2 見ることに洋の東西はない──視覚文化論実践篇 既知のように語っていいのだろうか──モダニズム管見 ただ絵を論じても仕方がない──ポー文学のヴィジュアリティ 啓蒙イギリスの本屋さん もの知り近代の初め──エフライム・チェンバーズ アクチュアライズする目──身体また十八世紀に発す 十八世紀の身体を開く 十八世紀の一時間旅行 トゥーンベリ『江戸参府随行記』 エレキテルと探偵──平賀源内と夏目漱石が視た光と闇 アッカーとアーカート──源内は立派に世界文学 青い目のキョクテイ 大江戸マニエリスム事はじめ──高田衛『新編 江戸幻想文学誌』 マニエリストの才覚──『西鶴諸国ばなし』 表現者は身に繍るひと──松田修 「むしろ迂愚のごとく」のすさまじさ──その激語は一層のアウラを 歌麿のShell Shock──『潮干のつと』購入に感謝 大江戸新美術史──スクリーチ『大江戸視覚革命』 外連ピクチャレスク 視覚的快楽の閉回路へ のぞく近代──襞と襞の戯れ 聖と俗とをとりまぜながら、エロティックな文学は人と人との関係を反映する ポルノの黄金時代 マニエリスムの恋人たち、または口ほどにもあるメタ・ポルノ 『エロトス』の女芯に──荒木経惟の「猥褻」 もっとタフなフェミニズムのために パテリアリズム批判の切れ味 3 見えるものはこんなにも楽しい(Ⅰ)──表象論基礎篇 タブローのかたちをした空間──『言葉と物』と一九六〇年代 フーコー、跼蹐せず──『言葉と物』のアフターエフェクト 「物類」というタブローの宇宙──江戸本草学と花 二〇〇四年夏、オランダの光 珍しく花のある話──フローラル・ペインティング序説 プリズマティックス マニエリスムの王位継承者──ハムレットとドン・キホーテの図像学 自由放任の終わり──デフレと推理小説 『緋色の研究』を研究してわかること 百貨と胃袋──ゾラ・ヴィジュエル 「まったく新種の店」のパラダイム──ワナメイカーの世紀末 「世界は百貨店」とパリは言う 「パトロン」の系譜と機能──パトロネージからみたヨーロッパと日本の文化 美術館の収集品とは、略奪と権力の象徴 身体という「驚異の部屋」 メトニミックス──金子國義について インテリオフィリア──金子國義ふたたび 4 庭のように世界を旅する──ピクチャレスク遊学篇 「箱」ルネ=サンス──内藤ルネ讃 「風景画」の秘密──豪奢の夢① ラスキンとピクチャレスク 夢てふものは──『春昼』の風景 十九世紀美術史を映しだす鏡──ブロンテ姉妹と「絵」 廃墟としての世界 廃墟のパラドキシア ボマルツォの怪物庭園 フローラル小劇場──ガーデニングの世紀末 本当の「英国式」庭園について 動く密室──豪奢の夢②ツーリズムの近代(前) 乾いた日常を濡らす源「泉」 地図のポストモダン 軍隊のような旅──豪奢の夢③ツーリズムの近代(後) 世紀末、スポーツはたくらむ──自転車、オリンピック、闘牛 旅という想像力 5 家が「うち」と呼ばれるとき──幻想文学入門篇 辞書と偽書──「アンティレゴメナ」文学史覚え 植生の建築史──ヴィクトル・オルタの方へ マニエリスム──「あの人」としか言えないことの豊かさ ファウスト、ヴィクトリア朝に甦る それは繰り返す──『IT』を読む 家庭に潜む恐怖──スティーヴン・キング『IT』 本をデザインする家──『紙葉の家』に興奮した 「ホーンティッド・ハウス」論今般 いま読者に何が「ニードフル」か 「不気味なものが……」川端幻想文学の新しさ──「片腕」「眠れる美女」にふれて 6 私は人文がしめ殺されるのをこの目で見た 首都大学東京というグランド・ゼロに立つ 風神口上 初出一覧/事項索引/書名索引/人名索引 ▼プロフィール 高山 宏(たかやま ひろし) 1947年 岩手県に生まれる 1974年 東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了 現 在 大妻女子大学比較文化学部教授 [主要著書] 『アリス狩り』(青土社、1981、新版2008) 『テクスト世紀末』(ポーラ文化研究所、1992) 『ブック・カーニヴァル』(自由国民社、1995) 『カステロフィリア──記憶・建築・ピラネージ』(叢書メラヴィリア1、作品社、1996) 『エクスタシー──高山宏椀飯振舞I』(松柏社、2002) 『近代文化史入門──超英文学講義』(講談社学術文庫、2007)[『奇想天外・英文学講義』(講談社選書メチエ、2000)を改題] 『超人高山宏のつくりかた』(NTT出版、2007) 『かたち三昧』(羽鳥書店、2009)
MORE -
田中純『イメージの自然史──天使から貝殻まで』
¥3,960
SOLD OUT
A5判 並製 332頁 本体価格 体3,600円+税 ISBN 978-4-904702-11-6 C3010 2010年6月刊行 ブックデザイン 馬面俊之 印刷 精興社 製本 矢嶋製本 ▼書評・記事 『日本経済新聞』2010年8月8日「歴史の深層から現在を思考」評・五十嵐太郎(建築評論家) 『東京新聞』2010年8月15日「かたちをめぐる自在な連想」評・柏木博(デザイン評論家) 『読売新聞』2010年10月10日 「変化するおもかげ追う」評・前田耕作(アジア文化史家) 『出版ニュース』2010年8月中旬号「ブックガイド」 『idea no.342』2010年9月号「ブック&インフォメーション」 ▼概要 記憶・生命の原型的イメージを手繰る ──都市表象分析をめぐる思索のエッセンス 「自然史」とは「ナチュラルヒストリー」を意味している。それは、「自然誌」「博物誌」「博物学」でもあり、分類学的な博物誌と系統学的自然史のあわいを揺れ動きながら、原型的イメージを図鑑のように編み、それが変容してゆく過程を歴史のなかにたどる。『UP』の好評連載「イメージの記憶」を中心に、『10+1』連載「都市表象分析」の最後の3回分も収録。本書には、前著『政治の美学』にいたるまでの著作のエッセンスが凝縮されており、田中純の思索を繙く最良の手引書となっている。 *田中純 公式ブログBlog (Before- & Afterimages) 2010年6月14日 「序」と「跋」の一部掲載 http://before-and-afterimages.jp/news2009/2010/06/post-89.html [主要目次] 序 Ⅰ 図像的転回の源流へ 第1章 イメージの系譜学──図像アトラス「ムネモシュネ」の方法 第2章 アートヒストリーとナチュラルヒストリー──種・様式・シークエンス Ⅱ 進化のイメージ 第1章 その馬を見よ──進化の肌理、歴史の知覚 第2章 ヒトの「おもかげ」──ヘッケル『人類の発生』と《泰治君の夢》 第3章 歪んだ創世記──『シュルツ全小説』に寄せて 第4章 天使をめぐって (1) 天使の博物誌──フェヒナー『天使の比較解剖学』 (2) 始祖鳥のメタモルフォーゼ──押井守『天使のたまご』 第5章 『リヴァイアサン』から『崖の上のポニョ』へ──ある象徴の系譜 第6章 楳図かずおの進化論──ムシとコドモ 第7章 幼形成熟の哀しみ──ビョークの人形愛 Ⅲ 情念のかたち 第1章 転生するニンフたち──ヴィヴィアン・ガールズの情念定型 第2章 鬼神たちの回帰──クロソウスキー『古代ローマの女たち』 第3章 表象の墓碑銘──ゴンブリッチ「棒馬考」考 第4章 メランコリーをめぐって (1) 弥勒とメランコリー──タルホからゴヤへ (2) 我ら、土星の子供たち──メランコリーの形式 第5章 イメージのサヴァイヴァル──ゴダール『映画史』 第6章 人形文字/文字という人形──多和田葉子「ゴットハルト鉄道」 第7章 まなざしの色彩──シェーンベルクのドローイング 第8章 書物のヒエログリフ化──『政治の美学』をめぐって Ⅳ 写真という多面体 第1章 細部の野蛮な自律性──矢代幸雄・ヴァールブルク・バタイユ 第2章 歪んだガラス──修整写真の欲望 第3章 写真の解剖学──歴史の証拠物件 第4章 時のアウラ──ロッシとタルコフスキーのポラロイド写真 第5章 石と化したスナップショット──ゲオルゲのイメージ戦略 第6章 見えない抹消線──高梨豊『地名論』 Ⅴ 都市の波打ち際 第1章 塔と貝殻──アルド・ロッシの詩学 第2章 多孔性の科学──生命の楼閣、都市の生命 第3章 波打ち際の知──『都市の詩学』への追記 第4章 都市表象分析とは何か──自註の試み (1) 「非都市の存在論」から「都市表象分析」へ (2) 発掘された幼年時代──「語り」のかたち 註/跋/初出一覧 書誌/図版一覧/人名索引/事項索引 ▼プロフィール 田中 純 (たなか じゅん) 1960年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授・表象文化論(思想史・イメージ分析)。 [主要著書] 『都市表象分析I』(INAX出版、2000) 『ミース・ファン・デル・ローエの戦場』(彰国社、2000) 『アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮』『死者たちの都市へ』(青土社、2001、2004、サントリー学芸賞受賞) 『都市の詩学──場所の記憶と徴候』(東京大学出版会、2007、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞) 『政治の美学──権力と表象』(東京大学出版会、2008、毎日出版文化賞受賞) ▼関連書籍 田中純『過去に触れる──歴史経験・写真・サスペンス』 工藤庸子[編]『論集 蓮實重彦』
MORE