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四六判 並製 178頁
本体価格 2,200円+税
ISBN 978-4-904702-70-3 C0074
2018年5月刊行
装幀:小川順子 装画:山本由実
ひたすらな孤立をあえて選択することで、無限に開かれたコミュニケーションを奇跡のように押し拡げてみせた濱口竜介の『ハッピーアワー』の美しさ。その美しさをあえて言葉にしようとする三浦哲哉の『「ハッピーアワー」論』のひたすら無謀な情熱。そのありえない出会いのさきに、濱口の傑作『寝ても覚めても』による無謀さの擁護が、すでに終わりかけている平成日本の目には見えない焦点を、ひそかに、だが鋭く、視界に浮上させている。
────蓮實重彦(映画評論家)
▼概要
見終えたあと、外の世界がまあたらしく見えてくる。
映画批評家・三浦哲哉による、渾身の『ハッピーアワー』論。
濱口竜介監督の5時間17分におよぶ話題作『ハッピーアワー』(2015年)。その異例ともいえる上映時間にこめられた密度の濃い映画的仕組みを、丁寧かつスリリングに解き明かし、映画史の中に位置づける。書下し。
[主要目次]*詳細目次はページ下を参照
序
第一章 重心
第二章 台詞
第三章 変化
結論
『ハッピーアワー』のあとに見たい映画リスト
▼映画『ハッピーアワー』公式サイト
最新情報はこちらよりご確認ください。上映会情報も。
*上映会 5月12日(土)15時30分〜、26日(土)11時30分〜
会場:ブックハウスカフェ
http://hh.fictive.jp/ja/
▼刊行記念トークイベント
三浦哲哉×濱口竜介「『ハッピーアワー』という幸福な時間」
5月24日(木)19時〜 エスパス・ビブリオ *満員御礼にて終了
http://espacebiblio.superstudio.co.jp/?p=6695
▼プロフィール
青山学院大学文学部准教授。映画批評・研究、表象文化論。1976年郡山市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。著書に『サスペンス映画史』(みすず書房、2012年)、『映画とは何か──フランス映画思想史』(筑摩選書、2014年)。共著に『ひきずる映画──ポスト・カタストロフ時代の想像力』(フィルムアート社、2011年)、『オーバー・ザ・シネマ 映画「超」討議』(石岡良治との共編著、フィルムアート社、2018年)。訳書に『ジム・ジャームッシュ・インタビューズ──映画監督ジム・ジャームッシュの歴史』(東邦出版、2006年)。
2018年5月17日 初版
印刷・製本 大日本法令印刷
[詳細目次]
序
第一章 重 心
物語の要約
「心理表象主義」を超えて
「重心」
鵜飼のワークショップ
サスペンス
なぜ倒れるのか
テーブルを挟んだ対面状態
純の試練
有馬温泉の四人
芙美の孤立
桜子の揺らめき
あかりの模索
第二章 台 詞
「台詞が演者をサポートする」──『東京物語』の原節子
純と「せやな」
桜子と「わからへん」
あかりと「なんやねん」
芙美と「これか」
拓也と「まじか」
良彦と「どうすんねん」
鵜飼と「聞いてもいいですか?」
柚月と「すいません」
『ハッピーアワー』の言語
第三章 変 化
「自己認識」の変化
セルフモニタリング
撮影現場におけるセルフモニタリング=「自己吟味」
朗読会とその打ち上げにおける変化の連鎖
朗読会のアドリブ
フィクションの開口部
さまざまな「好き」
公平の変化
交わらなさ
「もう遅い」と「まだ途中」
芙美の変化
結論
『ハッピーアワー』のあとに見たい映画リスト』
註
あとがき
レビュー
(11)
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