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小林康夫『こころのアポリア──幸福と死のあいだで』

¥3,520 税込

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四六判 並製 432頁
本体価格 3,200円+税
ISBN 978-4-904702-39-0 C1010
2013年4月刊行
ブックデザイン 原研哉+大橋香菜子

印刷 精興社
製本 牧製本印刷

▼書評・記事
『信濃毎日新聞』2013年6月23日、『南日本新聞』『大阪日日新聞』等
「「こころ」と題したテキストでは、世阿弥「檜垣」の老女が取り上げられる。白川の水をくみ続けながら、水の理に逆らって昔の火の理に帰ろうとする元・白拍子の両義的なこころの場を描く。(中略)32編の論考を収録」。

▼概要
イデアの人 小林康夫の思惟のタペストリー
32のエッセー・小論を、辞書的項目を掲げてまとめる

ここ十数年のあいだに、それぞれまったく異なる機会に書かれた32本。
「幸福」と「死」の両極のあいだで、そのときどきの生と思考の痕跡を記す。

「〈屑〉という本質的に断片である〈非-作品〉を取り集めることによって『無の光』が差し込むべき場をつくるという発想を惹起した。そうしたら、そのような非-統一性の場として、(もちろん矛盾の表現だが)不完全な「辞書」の空間のうちに自分が書き散らした〈生の破片〉、〈屑〉としてのテクストすべて投げ込もうか、という乱暴な計画が勃発した」(「あとがき」より)


[目次]
Ⅰ 幸福の器
 1 幸福────モーツァルト『魔笛』
 2 レペルトワール────存在を焼く火
Ⅱ こころのアポリア
 3 こころ────世阿弥『檜垣』
 4 スコレー/エネルゲイア────坂部恵の〈風〉
Ⅲ からだの真実
 5 身体────われわれがそれであるもの
 6 触覚なき接触────グレン・グールドと電気掃除器
 7 手────ロラン・バルトの〈不器用さ〉
 8 味気なさ────ロラン・バルト『中国旅行ノート』
 9 a Cup of Humanity────岡倉天心『The Book of Tea』
10 秘密────「プライバシーの境界線」
11 逸脱────ヴァルター・ベンヤミンの「摂取同化」
Ⅳ 世界という庭で
 12 物質的流動────モネの〈庭〉 
 13 アナーキズム────吉田喜重「美の美(モネ)」
 14 空虚────ミシェル・フーコー『マネ論』
 15 庭/織物────フランソワ・ルーアンのタブロー
 16 青の神秘────Viktor & Rolf の「青」展
Ⅴ イマージュ/文字
 17 イマージュ────宮川淳『鏡・空間・イマージュ』 
 18 顔────こんなにもあからさまで、こんなにも秘密の神秘
 19 純粋な場所────佐伯祐三のパリの壁
 20 見えるものと見えないもの────「白と黒」展
 21 原-書────雪舟《破墨山水図》の方へ 
Ⅵ 声のダイモーン
 22 遠隔作用────ニーチェ/ハイデガー/デリダの〈耳〉
 23 ダイモーン────モデルニテにおける詩の根拠
 24 呼びかけ────吉増剛造『オシリス、石の神』
 25 名────吉増剛造『The Other Voice』
 26 現-(da-)────吉増剛造『表紙』
 27 エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ────大貫隆『イエスの経験』
 28 religio────詩とreligio 
Ⅶ 終わりなき終わり
 29 終わりなきもの────ショパン「ソナタ変ロ短調」
 30 恐るべき否定性────「存在は苦である」
 31 芸術の終わり────モロッコ海岸のレイヨウ(デュラス)
 32 光────地中海の光を浴びて 

あとがき
人名索引

▼プロフィール
小林康夫(こばやし やすお)
1950年東京都生まれ。東京大学名誉教授、青山学院大学大学院総合文化政策学研究科特任教授。表象文化論、現代哲学。
著書に、『起源と根源──カフカ・ベンヤミン・ハイデガー』(1991年)、『表象の光学』(2003年)、『歴史のディコンストラクション──共生の希望へ向かって』(2010年)、『存在のカタストロフィー──〈空虚を断じて譲らない〉ために』(2012年)(以上、未來社)、『光のオペラ』(筑摩書房、1994年)、『出来事としての文学──時間錯誤の構造』(講談社学術文庫、2000年)、『青の美術史』(平凡社ライブラリー、2003年)など多数。

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