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前田雅英『法の奥底にあるもの──ゆく川の流れは絶えずして万事塞翁馬』

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四六判 並製 152頁
本体価格 2,000円+税
ISBN 978-4-904702-57-4 C3032
2015年11月刊行
ブックデザイン 大森裕二

▼書評・記事
『読売新聞』2015年12月6日 本よみうり堂「著者来店」
講義に情熱 休まず40年「(前略)時代の流れで変わる判断を、法理論にくみ上げて説明することが法律家の仕事と考える。「○か×かどちらかと言われても、答えは見つからない。足して2で割るのも間違っている」。調和点を求める過程こそが重要だという。(後略)」(記事・原田和幸) http://hatoripress.blog.so-net.ne.jp/2015-12-16
『都市問題』2016年6月号 
評者:小石川裕介(後藤・安田記念東京都市研究所研究員)

▼概要
前田刑法の精髄。
刑事法学の第一線研究者でありつづけながら、40年間、講義を一度も休まなかった教育者・前田雅英の最終講義。

[目次]

四〇年間の講義
大陸移動説と「アメリカ大陸の発見」
万事塞翁馬
「銀行員半沢直樹」の世界
犯罪の増減は振り子のように
一九七五年という転換点
戦後社会の「波」と法理論の変化
最高裁の大きなうねり
財産犯の本質論の揺れ動き
未遂と共犯と大陸移動説
学問と縁──目黒区八雲(一九四九年)
刑法研究会と東京大学出版会
『刑法講義』と『刑事訴訟法講義』
判例研究の意味
「真理」は動くものである──儚いもの?
行為無価値論を採用しなければ社会は静止する?
行為無価値論と結果無価値論の対立の意味
新過失論と戦後の高度経済成長
公害現象と価値観の反転


法理論から結論は導けない──法解釈とは価値判断である
死刑廃止論と表現の自由
法解釈は価値判断を隠す手品である
「どちらが正しいのか」と言ったとき、「問」まで雲散する
「場」が変われば答えも変わる──刑罰論の変化
解釈は考量である
異次元のものの比較
疑わしきは被告人の利益に──刑事法の衡量の特殊性?
「立場」が変われば結論も変わる?
「法」は相対的である
西欧近代からの「守・破・離」
リスト=シュミット二五版
国民の規範意識とポピュリズム
「価値」は不条理なもの
日本は「判例法国」である
実質的犯罪論
団藤刑法学と三島由紀夫の自殺
形式的犯罪論の極──中山刑法
実質的犯罪論と『可罰的違法性論の研究』
実質的構成要件論──構成要件該当性判断は、価値評価を伴う
実質的違法論
実質的責任論
日本的共犯論
量刑と理論──理論と結論の関係の典型
判例への信頼と実質的犯罪論

あとがき

▼プロフィール
前田雅英(まえだ まさひで)
1949年 東京に生まれる
1972年 東京大学法学部卒業
1975年 東京都立大学法学部助教授
1988年 東京都立大学法学部教授
2005年 首都大学東京法科大学院教授
現 在  日本大学大学院法務研究科教授

[主要著書]
『可罰的違法性論の研究』(東京大学出版会、1982年)
『刑法演習講座』(日本評論社、1991年)
『現代社会と実質的犯罪論』(東京大学出版会、1992年)
『刑法の基礎 総論』(有斐閣、1993年)
『刑法から日本をみる』共著(東京大学出版会、1997年)
『少年犯罪──統計からみたその実像』(東京大学出版会、2000年)
『裁判員のための刑事法入門』(東京大学出版会、2009年)
『ハンドブック刑事法──罪と罰の現在』(東京法令出版、2014年)
『刑事訴訟法講義[第5版]』共著(東京大学出版会、2014年)(初版2004年)
『刑法総論講義[第6版]』(東京大学出版会、2015年)(初版1988年)
『刑法各論講義[第6版]』(東京大学出版会、2015年)(初版1989年)

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